プログラムの特色・研修医の声

研修プログラムの3つの特色

四国中央部の拠点病院

 

三好病院は、徳島県西部圏域における急性期医療の中核病院であり、「四国中央部の要」としての役割を担っています。

西部圏域で唯一の救命救急センターとして、「断らない医療」の実現を目指し、救急医療を提供しています。一方で、平成26年度には公立病院として初の緩和ケア病棟を整備し、手術・化学療法・放射線治療・緩和ケアによる「フルセットのがん医療」の提供を推進しており、急性期から緩和ケアまで、地域医療を志す上で必要なものを研修の中で学ぶことができます。令和2年度には高度先進関節脊椎センターを設置し、人口膝関節手術に手術支援ロボットの導入、内視鏡を用いた脊椎手術を行うなど、全国有数の先進医療にも取り組んでいます。

また、広範な山間部を有し、超高齢化社会を迎えている三好の地で、地域住民の「病」を通して「生(活)」を診る、「地域医療マインド」の涵養を目指します。

 

県西部における救急医療の拠点病院

 

三好病院は、徳島県で唯一の地域救命救急センターであり、1次救急から3次救急まで受け入れています。令和元年度の救急患者数は約8,000件、救急車搬送件数は約2,100件に及んでいます。

研修医は、一般的な疾患を中心に1次から3次までの救急を研修します。平日の日勤帯は救急担当医と救急科所属研修医が担当し、夜間・土日祝日は2名の当直医と1名の研修当直医の体制となっています。一般救急、外科系救急、小児救急、循環器救急、消化器救急、呼吸器救急など様々な救急疾患が経験できます。適切な対応・初期対処能力だけでなく、全身の保護や清拭を含めた、人としての尊厳が保たれる救急医療の習得を目指します。

 H25H26H27H28H29H30H31,R1
3次 319 295 335 339 333 423 278
2次 1,702 1,592 1,788 1,803 2,088 1,991 1,986
1次 5,723 4,432 5,066 4,450 4,878 4,787 5,705
うち救急車受入件数 2,048 1,854 1,885 1,733 1,957 1,898 2,133
救急患者受入状況.png 

多彩な研修プラン

 

一年次には、必修診療科である内科、総合診療科、救急科及び地域医療を中心に回り、基本的な医療と、地域との連携の習得を目指します。その他の必修分野(外科、麻酔科、小児科、産婦人科、精神科)以外の研修計画については研修プログラム責任者と相談の上、オーダーメイドの研修プログラムを作成します。2年目は、徳島県立中央病院、徳島大学病院で街型の医療を経験することができ、自分の実力のチェックや、技術のレベルアップを図ることも可能です。

また、協力型病院である長野県の諏訪中央病院の総合診療科で、中規模急性期病院での全人的医療、「あたたかな急性期医療」を学ぶこともできます。同院は、全国的にも早くから予防、在宅、緩和など、人の生に重きを置いた地域密着型の医療がなされています。当院でも目指しているこれらの医療を、違う角度から学ぶことができます。

多様な地域の特性に触れながら、臨床倫理的側面や急性期医療を学び、医師としての基礎的総合力を養うことができます。

 

研修医の声

 
研修医紹介4.png

阿部先生は、1年次は内科や救急科を中心に研修を行い、2年次は三好病院を離れ、県内の協力型病院を回り研修に励んでいます。

2年目の研修医として、これまでの研修を振り返って思うことや今後の目標などを伺いました。

 

阿部先生の研修ローテート

一年次は、必修科目を中心に診療科を回りながら、月に4回ほど救急科の当直にも入り、医師としての基本的臨床能力の習得に励みました。二年次は、県内外の協力型病院を回り、様々な環境の中で経験を積んでいます。

ローテート3.png

 

1年目の研修内容

 研修内容.jpg

インタビュー

 

〇 まず、研修を始める際に抱いていた目標や、三好病院を研修先に選んだ経緯について

教えてください。

 

私は、「患者が重症かどうかの判断ができるような医師になりたい」と考えていました。医師になって3年目からは、一人で患者を診察する状況が必ず出てくると思います。そのとき、その人を入院させて経過を見るべきか、帰ってもらって後日改めて受診してもらうべきか、あるいは他の先生や医療機関に相談するべきかを一人で判断しなければならないと考えたからです。

三好病院を選んだ経緯については、研修先を探していた時に三好病院のホームページで救急の受入患者数が年間7000人以上いることを知りました。また一次救急から三次救急まで幅広く受け入れているため、自分のイメージとマッチしていると思い、興味を持ったことが始まりです。

その後、実習で総合診療科を見学した際、人が少ない中で責任をもって判断を下す指導医の姿に感銘を受けました。研修医の人数も少ないので、指導医との時間を多く持てることや、様々な症例を経験できることも決め手になりました。

 

〇 実際に研修を行ってみての感想は?

 

一年目は、内科や救急科、総合診療科を中心に研修を行いました。重症かどうかの判断を行うためには、患者とのコミュニケーションが大切です。しかし三好病院は高齢の患者が多いため、コミュニケーションをとることが難しい場合もあり、自分で検査して判断しなければならないことも多くありました。

ある日、救急科での研修中、強い胸痛を訴える患者さんが来ました。採血・心電図・胸部X線ではっきりした異常はなく、胸痛もおさまっていました。経過観察でも問題なさそうでしたが、ご家族から「家で『ぎゃーっ』って言ったんです」と聞き、明らかに何か問題があったようでした。致死的な疾患のうち、肺塞栓だけは否定できていなかったため、上級医と相談し、追加の検査を行うことになりました。下肢のエコーを行うと血管が閉塞しているところが見つかり、造影CTで肺塞栓と下肢の静脈血栓を見つけることができました。高齢の患者さんは、本人だけでなくご家族の話もしっかり聞くべきだと思い知らされた経験であり、致死的な疾患を見逃さなかったことで、自信にもなった症例でした。

何の疾患を疑い、どのような検査をするのか。自分で対処するべきなのか、専門の先生に診てもらうべきなのか。多くの選択肢を挙げ、その中から適切な判断を下す必要があります。まだまだ未熟な部分はありますが、そういった能力は身についてきたと思います。

 

研修風景1.png

〇 周囲の医師から教わったことは?

 

総合診療科での研修中、指導を担当していただいた井内先生から学んだことは多いです。暗記するのではなく、論理的に考えることを教わりました。例えば、嚥下困難を訴える患者さんが来たとき、僕は内視鏡で見て、何か異常がないか見てみよう、くらいしか考えませんでしたが、井内先生は「眼や口が乾きませんか?」(シェーグレン症候群で唾液分泌不全を確認。)、「手を見せてもらえますか?」(爪を見て膠原病の可能性を確認。)、「夕方眼が開きにくいことは?」(重力筋無力症を確認。)など矢継ぎ早にスクリーニングとなる問診・身体所見の確認を行っていました。検査の大掛かりな機械が無くても見つけられる問診や身体所見をとても大事にしており、僕も常にそういった点を意識して診察しています。

また、同世代の若い先生とのつながりは大きいですね。文献で調べたことについて、どうですか、と意見を求めることはよくあります。また、文献に書いていないような小さな疑問でも、真剣に答えを考えてくれるので、印象に残っていることも多いです。

 

〇 今後挑戦したいことや、新しくできた目標はありますか?

 

子どもや女性を診られるようになりたいです。地域医療研修で小児科を経験した際に、子どもを診ることの難しさを知りました。コミュニケーションを取りづらく、成長度合いによって診察や検査の仕方も全然違います。それまでの自分の常識が通用しなかったので、衝撃を受けました。今後、小児科での研修も控えているので、自分の知識や経験の幅を広げていきたいです。

また、自分の身近な人が何か症状を訴えたときに、少しでも助けになれるような能力を身につけたいです。普段と違って様子がおかしい、食欲がないなどはとても大事な所見です。そう言われたときに、適切なアドバイスができるようになりたいですね。

 

〇 最後に、学生の方々に向けアドバイスやメッセージをお願いします。

 

自分が研修に何を求めるかが明確にある人は、ひとまずそれに関する情報を収集した方がいいと思います。ネット、身近な人、見学先の先生などから話を聞くと、自分に合った研修先がより明確になると思います。

何から手をつけたらよいか分からない人は、まずは病院紹介のサイトを覗いてみるのがおすすめです。学生の皆さんが気になるような項目がまとめてあるため、病床数、救急の受入体制などから考えてみるのも良いと思います。

私もとても悩んだので、ぜひ悔いのないよう考えてみてください。応援しています。

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編集後記

阿部先生、研修でお忙しい中、インタビューにお付き合いいただきありがとうございました。

インタビューの中で、難しい専門用語などを素人の私にもわかるように教えていただきましたが、その際、言葉に悩みながらも、活き活きと嬉しそうに話される姿が印象的でした。

2年目に入ってから、様々な研修病院を飛び回り、三好病院に帰ってくるのは来年の3月です。多くの経験を積み、医師として大きく成長した先生に会える日を病院の皆で楽しみにしています。ガンバレ、阿部先生!!

                                      掲載日 令和2年10月2日